個人事業主でレンタカー業をスタートさせ、売り上げが順調に伸びてきた場合には多くの方が法人化を検討します。
また、新たにレンタカー事業に乗り出す際に法人化を検討しているという方もいるかもしれません。
一般的には年間500万円以上の利益があれば法人化によるメリットがあると言われています。
しかし、会社の運営には維持費がかかりますし、本当に法人化によるメリットがあるのかどうか各自状況をふまえて慎重に検討しなければなりません。
そのためには法人化するメリットとデメリットをよく理解する必要があります。
今回は法人化するメリットとデメリットを詳しく解説していきます。
Contents
法人化によるメリット
法人化によるメリットから順番に確認していきましょう。
信用がUPする
一般的に個人事業主に比べて法人の方が信頼度が高くなります。
法人化によって信頼度が高くなれば、具体的にどのようなメリットを享受できるでしょうか?
先ず第一に、「お客さんから選ばれやすくなる」ということが挙げられます。
車両や料金などの条件が全く同じであれば、株式会社と個人事業主のどちらが選ばれやすいでしょうか?
一般的には法人の方が選ばれることになると思います。
また、金融機関から融資を受けやすいというのもポイントです。
他にも、人材採用の面でも法人の方が応募者が集まりやすくなります。
応募者が多くなれば、より優秀な人材を雇用できる可能性が高くなるのは言うまでもありませんよね。
節税できる
節税できるというのは法人化による1番のメリットかもしれません。
法人税は税率が一定です。
しかし、個人事業主の場合は所得が上がれば上がるほど税率が高くなります。最高税率は45パーセントにもなります。
課税される所得金額 | 税率 |
195万円以下 | 5% |
195万円~330万円まで | 10% |
330万円~695万円まで | 20% |
695万円~900万円まで | 23% |
900万円~1,800万円まで | 33% |
1,800万円~4,000万円まで | 40% |
4,000万円~ | 45% |
それに対して法人税は一定税率なので、どんなに稼ぎ倒しても税率は23.9パーセント止まりです。
課税される所得金額 | 税率 |
800万円以下 | 15% |
800万円以上 | 23.9% |
赤字の繰り越しが9年
法人であれば、赤字の繰り越しが最長9年もできます。
個人経営であれば、3年までしかできません。
消費税の免税
個人事業主・法人ともに創業から2年間は消費税が免税となります。
個人事業主として創業し、2年後に法人化すれば、最長で4年間、消費税が免税できます。
ただし、免税の対象は「小規模事業者」なので、資本金の額が1,000万円以上あったり、第1期の半年間の売上高と給与等が1,000万円以上ある場合は免税の対象外です。
経費にできる項目が増える
個人事業主の場合は、事業用として必要経費に認められる費用はどうしても小さくなります。
しかし、法人の場合は、経費として認められる幅が格段に増えます。
例えば、法人が契約している賃貸住宅を社宅とすれば、役員が支払う家賃を経費として計上することができます。
他にも、生命保険の保険料を経費として計上できます。
法人化によるデメリット
次にデメリットを見ていきましょう。
会社の設立費用がかかる
法人の種類にもよりますが、法人の設立にはそれなりの費用がかかります。
株式会社であれば、20万円は必要です。
(会社の設立登記で最低15万円、定款認証で5万円)
行政書士や司法書士、税理士などの専門家に頼めば、支払う報酬としてさらに数万円かかります。
社会保険への加入義務
個人事業主であれば、従業員が5名以下であれば、社会保険への加入は任意です。
しかし、法人であれば、従業員が1名でも社会保険への加入が義務付けられています。
従業員分の保険料を折半で負担しなければならないので、人件費の負担が重くなります。
赤字でも税金の支払いが必要
個人事業主であれば、1年間の利益が赤字だった場合、所得税や住民税は発生しません。
一方、法人の場合は、法人住民税の均等割という税金を年間7万円支払わなければなりません。
これは、例え赤字であっても必ず支払わなければならない税金です。
事務負担の増加(税務申告・会計など)
個人事業主であれば、確定申告などの税務は自分でやるという人も少なくありません。
しかし、法人化すると法人税申告書というものを作成します。
法人税の申告は非常に複雑で専門性を要するので、通常は税理士や公認会計に依頼をするのが普通です。
税理士に支払う顧問料は、少なくても年間30~50万円程度かかってしまいます。
また、社会保険や労働保険の手続きも発生することで、事務処理が増えてしまいます。場合によっては、事務員を雇うなどさらに人件費がかかってしまうこともあります。
まとめ
いかがでしたか?
会社を設立することで、デメリット以上のメリットをあなたは見い出せましたか?
会社設立のメリットとデメリットを細かく挙げるとキリがありませんが、今回は大まかな部分を紹介しました。
冒頭でも言いましたが、一般的には年間500万円以上の利益があれば法人化によるメリットがあると言われています。
ただ、私は法人化することに少しでも迷いがあるのなら、個人経営のままを勧めています。
500万円の利益というのはギリギリのラインですし、翌年以降もそれを上回る利益を出せるとは限りません。
それに本当に法人化をする方というのは、迷う余地なく法人化するものです。
また、レンタカー許可の場合は、個人で許可を取得しても法人への引継ぎが認められています。
これは申請先である運輸局が柔軟な対応を取ってくれるからです。(中部運輸局は法人として新たに取り直しが必要です。)
※詳しくはこちらの法人化しても個人で取得したレンタカー許可は使用できる? を一読ください。
法人化してもレンタカー許可は、個人から法人へと承継できることが多いので、これからレンタカー許可を取るという方は個人経営から手堅く始めるのがいいのではないでしょうか。