レンタカー許可を取得し、わナンバー登録も終えて「やっと煩わしい手続きから解放される!」と開放感を感じている方も少なくないと思います。
しかし、実は許可を維持していくには、許可後もいくつか義務が課せれ、書類作成は続きます。
具体的に言うと、「掲示義務」、「記録義務」、「報告義務」が課されますが、決められていることを理解さえすればそこまで難しく考える必要はありません。
今回は、許可取得後に課される「掲示義務」と「記録義務」について解説していきます。
Contents
掲示義務について
レンタカー事業を始めるには、営業所に下記のものを利用者の見えやすい場所に掲示する義務があります。
- 労務供給の禁止の旨を記載したもの
- 料金表及び貸渡約款
1つずつ確認していきましょう。
労務供給の禁止の旨を記載したもの
運転手を付けて車両を貸し出すことは禁止されています。
運転手を付けて車両を貸し出せば、いわゆる「白タク行為」となり、レンタカー事業ではなく旅客運送事業となってしまいます。
また、直接ではなく、間接的に運転代行業者を紹介する、いわゆる「あっせん」や「紹介」をするといったことも禁止されています。
そこで、営業所には「貸渡しに付随した運転手の労務供給(運転手の紹介及びあっせんを含む)は行いません」といった文言を利用者の見やすいところに掲示するように義務付けられています。
料金表と契約約款
料金表と契約約款は、許可申請時に必要書類として提出するものですが、同じ内容のものを営業所に掲示しなければなりません。
契約約款とは、「使用上のルール」や「事故時の対応」、「禁止事項」まで貸し出す際の様々なルールを定めたものです。
許可申請で提出したこの2つについても利用者の見やすいところに掲示する必要があります。
記録義務について
レンタカー事業を行う際は、次の2つの記録義務が課されます。
- 貸渡証
- 貸渡簿
1つずつ確認していきましょう。
貸渡証
以下のものをすべて記載したものを貸渡証といい、車両をレンタルする運転者に携帯させる義務があります。
記載事項
- 利用者氏名または名称(法人の場合)、住所
- 運転者の氏名、住所、運転免許証の種類および番号
- 貸渡自動車の登録番号または車両番号
- 貸渡日時および時間
- 貸渡事務所名、返還事務所名
- 「運行中必ず携帯し、警察官または地方運輸局や運輸支局の職員の請求があったとき提示しなければならない」旨の記載
- 「自動車の借受けに付随して、貸渡人から運手者の労務の提供(運転者の紹介、あっせんを含む)を受けることができない」旨の記載
- 貸渡自動車に係る事故や故障が発生した場合の処置に関する記載
- 「貸渡期間が2日以上となる場合は、日常点検を利用者が実施することとなる」旨の記載
貸渡簿
日々のレンタルの取引状況を「貸渡簿」という帳簿に記録する義務があります。
下記の内容が記載されていれば、貸渡原票を綴じ合わせたものを「貸渡簿」としても構いません。
貸渡簿は2年間保存する必要があります。
記載事項
- 利用者の氏名または名称(法人の場合)、住所
- 運転者の氏名、住所、運転免許証の種類および番号
- 貸渡自動車の登録番号または車両番号
- 貸渡日時および時間
- 貸渡事務所、返還事務所
- 走行キロ数
- 貸渡料金
- 事故に関する事項
マイクロバスの貸渡を行う場合は以下の記載が必要
- 運行区間、行先、利用人数、使用目的
貸渡証と貸渡簿の書面の様式は?
貸渡証・貸渡簿ともに書面の様式は特に決まっていません。
運輸支局がテンプレートを用意してくれる訳ではないので、基本的には自分で作成する必要があります。
ただし、愛媛県のレンタカー協会のように無料でテンプレートを用意してくれているところもあります。
自分で作成できないという方はこのようなテンプレートを利用してもいいですし、それを参考にオリジナルのものを作成してもいいでしょう。
※愛媛県以外の方でも申し込みが可能です。
中古車を買い取る場合は記録が必要?
中古車を買い取ってレンタカー事業を始める際に、古物商許可が必要となるケースがあります。
すでに中古車販売などを行っていて、古物商許可を持っているという方もおられるかもしれませんが、これからレンタカー許可だけでなく古物商許可も取得するという方は古物台帳への記録も必要となります。
これは古物商許可を取得すると防犯3大義務という義務が課せれるからです。
ただし、記録は車両を貸し出す際は必要ありません。あくまで、新しく中古車を買い取る場合のみ必要となります。
古物台帳についてはこちらの古物台帳の疑問とポイントを完全解説!で詳しく解説しています。
まとめ
いかがでしたか?
掲示義務については、それほど頭を悩ますものではなかったことと思います。
特に料金表と貸渡約款については許可を取得していればすでに作成済みのものですよね。
しかし、貸渡証と貸渡簿については、取引のたびに記載しなければなりません。
また、貸渡簿の記録内容は毎年提出しなければならない「貸渡実績報告書」というものを作成する際に必ず必要となります。
「貸渡実績報告書」には、車種ごとの延べ走行キロ数や総貸渡料金などを記載しなければならないからです。
「貸渡実績報告書」については、こちらのレンタカー許可後に課せられる2つの報告義務を一読ください。