あなたは今、レンタカー事業を開始するにあたって融資を受けることを検討していませんか?

レンタカー事業には車両費や物件費、人件費などトータルで数百万円程度かかるのが普通ですし、フランチャイズに加入するとなると1,000万円以上必要となることもあるでしょう。

ところであなたは、日本政策金融公庫の新創業融資制度というものをご存知ですか?

融資といえば、連帯保証人や業績が必要とされるためハードルが高く、また金利のことを考えるとイマイチ乗り気になれないという人もいるのではないでしょうか。

しかし、日本政策金融公庫の新創業融資制度は、新規開業者にとても優しい融資制度です。

今回はこの日本政策金融公庫の新創業融資制度の概要について解説します。

新創業融資とは?

日本政策金融公庫の新創業融資制度は国が100%出資しており、新しく創業する人を国が金銭的に支援する制度です。

日本政策金融公庫は国の経済を活性化するために設立されました。

創業する人の利便性を重視し、融資に積極的で、審査もそこまで厳しくなく、創業者にとって非常に利用しやすい融資制度です。

特徴

新創業融資制度は、担保・連帯保証人が不要で、3,000万円まで借り入れができる大変ありがたい融資制度です。

また、利率(年)も2.4%前後~2.8%前後と安く設定されています。(年によって多少前後します。)

返済期間は、運転資金で最長7年、設備資金で最長20年となっています。

新創業融資制度
融資限度額 3,000万円(運転資金は1,500万円)
利率(年) 2.4%前後~2.8%前後
担保・保証人 不要
返済期間 7年(運転資金)、20年(設備資金)
据置期間 2年以内(元本の支払を待ってもらえる期間です。据置期間は利息の支払のみ行います。)
申込みから融資実行までの期間 1ヶ月~1ヶ月半

 

新創業融資を受けるための要件は?

新創業融資は新規開業者に利用しやすい制度ですが、それでも融資を受けるには最低限の要件をクリアしなければなりません。

主に以下の3つの要件をクリアする必要があります。

創業の要件

新たに事業を始める方、または事業開始後、税務申告を2期終えていない方を対象としています。

すでにレンタカー事業を開業していても2期目の税務申告を迎える前であれば受けることができます。

 

雇用創出、経済活性化、勤務経験等の要件

次のいずれかに該当する方

1、雇用の創出を伴う事業を始める方

2、技術やサービス等に工夫を加え多様なニーズに対応する事業を始める方

3、現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方で、次のいずれかに該当する方 

・現在の企業に継続して6年以上お勤めの方

・現在の企業と同じ業種に通算して6年以上お勤めの方

つまり、1、従業員を雇う事業なのか、2、ニーズがあって差別化されたサービスを提供できる事業なのか、3、過去に長く勤めた業種と同じ業種の事業なのか、このうちどれかに該当すれば大丈夫ということです。

レンタカー事業の場合は、上記1と2のどちらかでクリアできることがほとんどでしょう。

 

自己資金の要件

事業開始前、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる方。

仮に創業に1,000万円の資金が必要な場合、原則として100万円の自己資金があれば、900万円の融資を受けることができます。

ただし、自己資金の要件は建前上は10分の1となっていますが、少なくても3分の1以上の自己資金を用意するのが望ましいです。

10分の1ギリギリの自己資金で審査を通すには、それを納得をさせるだけの事業計画、または、それ相応の実務経験を積んでいる必要があります。

また、どこからか一時的に借りてきたお金、いわゆる見せ金を自己資金とすることはできません。

審査の際は、預金通帳の提出を求められるので、記帳の流れから見せ金だとすぐに分かってしまいます。

 

審査のポイントは自己資金額と事業計画書の内容

自己資金は熱意の証明

自己資金が多いとコツコツと準備をしてきたことを証明できますし、開業への熱意もダイレクトに伝わります。

創業融資は事業の実績を根拠として審査ができません。

その分、これまでの職務経歴などでコツコツ努力をしてきたことを証明しなければなりません。

これからレンタカー事業を始める人は業界未経験という人も少なくないのではないでしょうか?

そうなると、やはり開業のためにコツコツと貯めてきた資金こそが、審査の際、納得させることができる証拠となります。

いくら、事業計画書で上手に熱弁しても、努力をしてきた証拠が何もなければ、「本当に大丈夫?」と思われても仕方ありません。

 

自己資金を貯めてきた過程を証明する

自己資金というのは貯金額だけではなく、「どうやって貯めてきたか?」という過程が重要です。

審査はこの過程を厳しく見てきます。

融資の申し込みの際は通帳を提出することになりますが、月々の給料からコツコツ貯金をしてきたと分かることがベストです。

一番いけないのは、例えば、タンス預金など500万円をそのまま振り込むようなことです。この場合、ただの見せ金になってしまうので注意が必要です。

事業計画書の内容と実現可能性

事業計画書の内容は現実的で根拠がしっかりしたものに仕上げなければなりません。

この事業計画書に基づいて、事業の実現可能性と資金の返済可能性が慎重に審査されます。

損益計画、サービスの強み、これまでの職業で培った強みなど様々要素から事業成功の根拠を示します。ここで審査担当者を納得させられなければ、審査に通りません。

また、仮に審査に通ったとしても、事業計画書の内容によっては融資の希望額が減額されてしまうことがあります。

日本政策金融公庫が事業計画書で要求している最低限の必要事項は次の8つです。

  1. 創業の動機
  2. 経営者の略歴
  3. 取扱い商品・サービス
  4. 取引先・取引関係等
  5. 従業員について
  6. 借入れ状況
  7. 必要な資金と調達方法
  8. 事業の見通し

事業計画書の用紙は日本政策金融公庫のものを使用せずに自分で作成した用紙フォーマットでも構いません。

日本政策金融公庫の用紙は、各項目ごとの記入欄が狭く、十分な内容を書くことができないからです。

また、資金繰表や市場の分析資料などできるだけ多くの添付資料を提出するとそれだけ高い評価を得ることができます。

 

事業計画書の作成をサポートしてもらう

どうしても事業計画書が上手く作成できないという人は、お金はかかってしまいますが、税理士や行政書士などの専門家に指導を受けるのも1つです。

事業計画というのは、実績とは違い、あくまで計画です。優れた計画書というのは努力次第で作成することも可能です。

あまりお金をかけたくないという人は商工会議所が主催する創業塾というものに参加するのも1つです。

料金は地域によって差がありますが、数千円から1万円前後と比較的割安で、税理士や中小企業診断士の方が事業計画や売上目標の立て方、商品の売り方・選び方などを教えてくれます。

実は私もこの創業塾に参加したことがあるのですが、様々な業界の方の事業計画書を参考にできることもあり、「今自分に何が足りないのか」、「これから何をするべきなのか」、自分を客観視することができました。

また、この創業塾を修了すると、創業融資の際、商工会議所が仲介してくれるようになります。

 

面談について

せっかく優れた事業計画書を作成しても、面談での対応が事業計画書の内容と「矛盾している」、「整合性がない」という場合は、減点となってしまいます。

曖昧な説明になってしまわないように細部まできっちり説明できるように準備しておく必要があります。

特に専門家等にサポートしてもらって事業計画書を作成した場合、自分の言葉で上手く説明できないというケースも少なくありません。

専門家に面談時の対応についても指導してもらいましょう。

また、社会人として当然の常識マナーに欠けていれば、減点となります。審査員はこういうところもきっちり見ています。

特に決まりはないのですが、服装はスーツの方が無難です。

 

まとめ

いかがでしたか?

創業融資を成功させるには、まずできるだけ多くの自己資金を用意することが重要です。

そして、事業計画書を何度も練り直して、説得力を高めることが必要です。

預金通帳や事業計画書からコツコツ準備してきたことが分かれば、「きっと貸したお金もコツコツと返してくれる」という人間性を審査担当者に伺わせれるかどうかがポイントです。

解説のとおり、自己資金比率は、建前上は10分の1となっていますが、3分の1、もっと言えば、2分の1程度の自己資金があるのが理想です。

仮に、10分の1の自己資金で融資を受けることができたとしても、それで果たして事業が上手く回るとは限りません。

それはやはり、借入部分が大きくなればなるほど、不安がつきまといますし、資金繰りが苦しくなる傾向があるからです

いくら緻密な計画を立てたとしても、実際に事業を始めてみればそのまま計画通りに進まないことの方が普通です。健全に経営をしていくためにもやはり自己資金は多いことに越したことはありません。