インバウンド(訪日外国人観光客)の増加に伴ってレンタカーを利用する外国人が増え続けています。
ある統計情報によると、平成23年から29年までの7年間で外国人のレンタカー利用者は約140万人となり、7年間で約8倍も増加しました。
背景にはこれまでのようにバスを利用したツアー旅行から、個人旅行が主流となり、それに伴ってレンタカーを利用する機会が増えたこともその要因です。
これからあなたにも外国人にレンタカーを貸渡す機会があるかもしれませんが、実はすべての外国人にレンタカーを貸渡せる訳ではありません。
外国人にレンタカーを貸渡すにはいくつかの条件に合至していなければなりません。
今回は外国人にレンタカーを貸渡す際の条件と注意点を解説します。
Contents
外国人に貸渡すための条件は?
外国人にレンタカーを貸渡すには、当然ですが、日本人と同じく「18歳以上であること」が必要です。
そして、パスポートと免許証を提示してもらう必要があります。
レンタカーで外国人が使用できる免許証は以下の2種類です。
- 国際運転免許証
- 外国運転免許証
それぞれ確認していきましょう。
国際運転免許証
母国で発行された運転免許証を単に持っていればいいというのではなく、それとは別に国際運転免許証が必要となります。
国際運転免許証とは、ジュネーブ条約締約国が発行し、ジュネーヴ条約に定められた様式に合致したものをいいます。
この国際運転免許証の発行を受けるにはジュネーブ条約の加盟国である必要があります。
ジュネーブ条約加盟国でなければ、国際運転免許証の発行を受けることはできません。例えば、中国は加盟国ではありませんので、中国の方にはレンタカーを貸渡すことはできません。
また、国際運転免許証には他の条約に基づいて発行された様式(例えばウィーン条約など)のものもありますが、ジュネーブ条約締約国が発行したものに限りますので注意が必要です。
有効期間がある
国際運転免許証は発行されてから1年間の有効期間があります。
また、日本に入国してから1年以内となっています。
有効期間が残っているかきっちり確認をしましょう。
3カ月ルールに抵触していない
外国人が日本に中長期滞在すると「住民基本台帳」に記録されることになります。
この「住民基本台帳」に記録されている人は、一度日本から出国すると日本国外で3カ月以上滞在しないと日本に再入国しても運転はできません。
国際運転免許証を取得するために一度出国するケースはよくありますが、少なくても※日本国外で3カ月間の滞在が必要です。
※必ずしも国際運転免許証を発給した国である必要はありません。
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※警視庁ホームページより抜粋
外国運転免許証
スイス、ドイツ、フランス、台湾、ベルギー、エストニア、モナコスイス、ドイツ、フランス、台湾、ベルギー、エストニア、モナコの6カ国に関しては国際運転免許証でなくても、その国の運転免許証を日本語の翻訳文を添えて提出してもらえば大丈夫です。
※上記の6カ国のなかにはジュネーブ条約に加盟していない国もありますが問題ありません。
翻訳文は自分で翻訳したものは認められません。下記の者が発行した翻訳文に限ります。
- それぞれの国の在日大使館や領事館、もしくは日本自動車連盟(JAF)
- 台湾に関しては台湾日本関係協会、ドイツに関してはドイツ自動車連盟
有効期間・3カ月ルール
外国運転免許証が使える最長期間は日本に入国してから1年間です。また当然ですが、その運転免許証の有効期間が切れると使用できません。
国際運転免許証と同じく、3カ月ルールが適用されます。ルールの内容は国際運転免許証に準じます。
事故率は日本人の3倍以上
日本の左側通行に不慣れなど各国の交通ルールの違いからか外国人の事故率は日本人の3~4倍以上とも言われています。
特に左折時の巻き込み事故や駐車場での物損事故が多いようです。
外国人の利用客をそれなりに取り囲むのなら然るべき対策も必要となります。
例えば、大手レンタカー会社では事故を減らすために、駐車場の止め方や油種の違いなど外国語で書かれた解説書を用意したり、外国語を話せるスタッフを雇用しているところもあります。
月並みですが、事前に日本の交通事情を理解しているのとそうでないのとでは事故予防について雲泥の差があるといっても過言ではありません。
まとめ
いかがでしたか?
すべての外国人がレンタカーを利用できるわけではありません。
外国人にレンタカーを貸渡すには、国際運転免許証(ジュネーブ条約の加盟国)が必要であったり、30日ルールに抵触していないことが必要です。
また、外国人の事故率の高さにも留意しなければなりません。
外国人の事故率の高さは日本の交通事情に慣れていないということももちろんありますが、レンタカー事業者の交通ルールの事前説明が不十分であることも大いに関係しています。
外国語で説明しなければならないという壁もありますが、日本の交通事情を理解してもらうだけでも予防できる事故は少なくありません。
外国人客をターゲットとして取り囲む場合はぜひこのような予防策を積極的に取り入れましょう。