これからレンタカー許可を取得しようと思っている方の中には、「許可基準にどういったものがあるのか?」あるいは、「許可を取るには資格がいるのか?」といった疑問や不安があるのではないでしょうか?
結論から言うと、求められる許可基準=要件(条件)はそれほど難しいものではありません。
今回は、レンタカー許可の許可基準=要件を分かりやすく解説していきます。
3つの要件がある
レンタカー許可の正式名称は、自家用自動車有償貸渡業許可といい、申請は国土交通省の運輸支局にすることになります。
レンタカー許可を取得するには以下の3つの要件をクリアしていることが必要です。
- 欠格要件
- 車両の要件
- 保険加入の要件
1つずつ確認していきましょう。
欠格要件
申請者が次の欠格事由に該当していればレンタカー許可は取得できません。
また、法人で申請する場合は、役員全員が次の欠格事由に該当していないことが必要です。
1年以上の懲役または禁錮の刑を受けてから2年を経過していない者
各種運送事業の許可を取り消されてから2年を経過していない者
申請者が未成年または成年後見人である場合、その法定代理人が上記1、2に該当する者
申請日までの2年間、自動車運送事業経営類似行為により処分を受けていない者
1年以上の懲役または禁錮の刑を受けてから2年を経過していない者
刑務所に服役をしていた場合、出所後2年が経っていなければ許可は取得できません。
※服役中、懲役刑には「労働の義務」がありますが、禁固刑には「労働の義務」はありません。
各種運送事業の許可を取り消されてから2年を経過していない者
各種運送事業の許可とは、一般旅客自動車運送事業、特定旅客自動車運送事業、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業、自家用自動車の有償貸渡(レンタカー事業)のことをいいます。
上記いずれかの許可を取り消されたことがあれば、取り消し後、2年が経過していなければ許可は取得できません。
申請者が未成年または成年後見人である場合、その法定代理人が上記1、2に該当する者
例えば、申請者が未成年であれば、通常は保護者である親が法定代理人となりますが、その親が上記1と2の欠格要件に該当していないことが必要です。
※法定代理人は、未成年者に代理して法律行為を行ったり、未成年者の法律行為に同意を与えることができます。
申請日までの2年間、自動車運送事業経営類似行為により処分を受けていない者
「自動車運送事業経営類似行為」とは、いわゆる、無許可営業のことで、白タクや白トラ営業などのことをいいます。
申請日までの2年間、これらの行為で処分を受けていれば許可は取得できません。
車両の要件
レンタカー事業で使用する車両はどんなものでもいいというわけではありません。
使用できる車両は下記のものに限ります。
- 自家用自動車
- 自家用マイクロバス
- 自家用トラック
- 特種用途自動車
- 二輪車
1つずつ確認していきましょう。
自家用自動車
言わずと知れた普通車のことです。
自家用マイクロバス
ここでいうマイクロバスとは、乗車定員が11名から29名までで、車両全長7メートル未満のものです。
このマイクロバスを貸し出すには、レンタカー事業で2年以上の経営実績、車両停止処分を受けていないことが必要です。
また、貸し出す7日前までに営業所を管轄する運輸支局長に「運行区間、行先」や「利用者人数」、「使用目的」などを届出なければなりません。
自家用トラック
荷物の少ない引っ越しなどに需要があります。
軽トラックから3tトラックまで幅広い種類のものが利用されています。
特種用途自動車
いわゆる、「8ナンバー」をつけた車両のことです。
大型建設機械(0ナンバー)や大型の特殊自動車で建設機械以外のもの(9ナンバー)はレンタルできません。
二輪車
バイクもレンタカーとして貸出すことが可能です。
ただし、原付に関してはレンタカー許可がなくても貸出すことができます。
レンタカーに使用できない車両
次のの2つの車両についてはレンタカー事業に使用できません。
- 自家用バス
- 霊柩車
※自家用バスとは、「乗車定員30人以上または車両の長さが7mを超えるバス」のことです。
車両や台数によっては整備管理者が必要になる
下記の車両扱う場合は、整備管理者を選任し、運輸支局へ届出が必要となります。
- バス(乗車定員が11人以上の車両)→ 1台以上
- 大型トラック等(車両総重量8トン以上)→ 5台以上
- その他の車両 → 10台以上
また、整備管理者は以下の資格、もしくは、実務経験が必要となります。
- 1,2,3級の自動車整備技士の資格(何級でもいい)
- 自動車の点検もしくは整備の管理に関して2年以上の実務経験を有し、地方運輸局が行う整備管理者選任前研修を修了していること
実務経験は、レンタカー事業で扱う車両と、同じタイプの車両の実務経験が必要です。
実務経験は、整備工場やディーラー、ガソリンスタンでの点検・整備業務はもちろん、運送会社で乗務員が日常的に行う点検も含まれます。
保険への加入要件
レンタカー事業を始めるには、自動車保険への加入が必須です。
少なくても下記に示す補償内容の保険に入ることが義務付けられています。
- 対人保険:1人につき8,000万円以上
- 対物保険:1事故につき200万円以上
- 搭乗者保険:1人につき500万円以上
上記内容の保険に入れば法的には問題ないですが、対人保険と対物保険に関しては通常、無制限とするのが一般的です。
まとめ
いかがでしたか?
今回はレンタカー許可の要件について解説しました。
冒頭でも言いましたが、どれもハードルが高いというわけではありません。
ただし、保険については注意が必要です。保険の最低補償額が低過ぎると私は思っています。
運悪く大きな事故にあってしまうと、要件で示された金額では全く足りません。
保険の許可基準のハードルが高くないせいか、ここが見落とされてしまいがちです。
保険料の掛け金の差はほとんどないので、対人保険と対物保険に関してはやはり無制限とすることを検討してみてください。